ニッシンデジタル - ストロボ、スピードライト、フラッシュ

コラム

ずっと待っていたのはこれだった(MG80 Pro)


学校写真をメインとして撮影をしている私がニッシンストロボと出会ったのは今から8年前。知り合いのカメラマン氏から紹介されたそれは、あまりに圧倒的で強烈でした。
2012年9月に発売された、初代マシンガンストロボ「MG8000」。
ブライダル写真と同じく学校写真の世界では、カメラの上にクリップオンストロボを乗せて使う「オンカメラ撮影」が基本になります。
カメラはキヤノンのシステムで揃えている私が当時使っていたストロボは、純正のものでしたが、純正どころかどこのメーカーでもできなかった”大光量での連続発光でオーバーヒートしない”という規格外としか言いようがないスペック。
パワーパック(ストロボ用外部電源)と共にすぐ現場機材の仲間入りをしました。

数年前に惜しまれつつ生産終了、以後は新しく発売されるカメラに非対応であったり、機能的にやや前世代的な部分も目立ちはじめ、後継機種をずっと望んでいましたがなかなか形として出てくることはありませんでしたが、2018年に突如「グリップ型」として戻ってきたマシンガンストロボ。
これは今後の展開も期待してしまう…と思っていると、翌2019年に待望のクリップオン型「MG80 Pro」が登場!当然すぐに実践投入して、今も変わらずメインストロボとして活躍しています。

■MG80 Proはオンカメラでもその高いパフォーマンスが魅力。

ニッシンストロボは、MG8000の後にi60Aも購入し現場に合わせて併用をしていましたので、従来機種とのスペックの違いをまずはおさらいしてみたいと思います。

MG80 ProがMG8000よりガイドナンバーが低くなっているのは、配光パターンの最適化の関係だとのこと。発光管出力は同じです。
単3形電池でもリチウムイオン充電池でも駆動できるのが大きな特徴です。光方式のワイヤレス機能を省略し、現在主流の電波式ワイヤレス機能を豊富に持っています。

■MG80 Pro(写真左)とMG8000(写真右)の比較。意外にもMG80 Proの発光部はコンパクト。MG8000の操作部は非常にシンプルかつ認識しやすいものの、細かい設定変更はやや行いづらい部分も。

MG8000は一言で言えば「連写番長」でしょうか。普通のストロボならとっくにオーバーヒートで止まるか発光部がダメになるような、それこそ陽炎が立ち上ってるんじゃないか?というくらい焚いても「ちゃんと光る」ストロボでした。
仕事で使う上で、この「ちゃんと光る」という当たり前のようなことが一番大事だったりします。光らなければ失敗写真です。運動会・式典など大事なシーンでは、パワーパックと併用して優先的に使っていました。
しかし特に最近は、基本設計が古いことによる不満も目立つようになり、出番は減少気味に。

■MG80 Pro(写真左)とi60A(写真右)の操作部比較。どちらも直感的に操作可能。

i60Aは「コンパクトな万能機」でしょうか。小さいのに大光量・シンプル操作・いざとなれば電波式ワイヤレスレシーバー(子機)としても使えますから、予備として持って行っていたものが、スナップを中心にいつの間にかMG8000に代わってメインで使っていたりもしました。
ところが人間というのは面倒なもので、いろいろなシーンで使っていると、やはりあの超高耐熱仕様と高速チャージが時々恋しくなってしまうのです。しかし外部電源を持って行くには大げさすぎることばかり。

そこに、満を持して登場したMG80 Proです。これです!待っていたのは!
クリップオン型、超高耐熱仕様、リチウムイオン充電池(*1)を使えば単体で最速1.2秒の高速チャージ、単3電池(*2)でも駆動可能、i60AやNASコマンダーAir10s譲りのシンプル操作部。
照射角ズームは先に登場していたグリップ型MGと同じ「フレネルレンズのついた外側が、マグネット連動でスライドする」方式です。メカメカしくてこういう部分も惹かれます。
シュープレートはおなじみ金属製ですが、今回はソニー用も金属シューになって強度が向上しています。レバー式でもプッシュボタン式でもない回転リング式ロックは、カメラだけでなくスタンド類にもより確実に固定できます。青の挿し色もアクセントになって良い感じです。

■MG80 Proではソニー用(写真右)も金属シューになり耐久性が向上。写真左は筆者が発売日より使用しているキヤノン用。

実際に使用して最初に驚いたのは、TTL自動調光の精度の高さ。さすが最新の設計だけあって、従来のどの製品よりも正確です。キヤノン機では元々純正ストロボでも調光制御はややうまくいかないシーンが多かったのですが、それを全く感じさせません。
そして、リチウムイオン充電池の絶大なる効果。学校写真やブライダルではスナップの撮影時に、単3電池を8本使う外部電源を併用している人は多いのですが、その外部電源なしでほぼ同等のパフォーマンスを発揮します。
余計な機器が不要ということは、それだけ機材の取り回しもよくなり、軽量化にもつながります。またチャージタイムは遅くなりますが、単3電池でも駆動できるので、出張先でも電池の心配がなくなるのは嬉しいところ。
操作部のダイヤル+ボタンの組み合わせは最近のニッシン製品に共通で、深い階層まで入ってメニュー設定をする必要がなく、素早く操作できるのが特徴です。液晶表示部も「晴天下でも認識でき、暗所でも目立ちにくい」表示になっています。

■MG80 ProとAir10s(写真右)。操作部の意匠は全く同一。

ワイヤレス関連機能も充実していて、ニッシンの電波式ワイヤレスシステム「NAS」のコマンダー(親機)・レシーバー(子機)どちらにも変身でき、8グループまで制御できるので、仮設のスタジオライティングや作品撮りにも活用できます。
モノブロックストロボからの乗り換えで、MGシリーズとNASで移動用ライティングシステムを完結させれば、圧倒的な機材軽量化につながります。
モデリングLEDも搭載していますので、ライティングを組んだ際の確認も容易です。このLEDを点灯させて写真の撮影はできませんが、ムービーなら簡易照明にもできそうです。宿泊学習に添乗した際は、夜道を照らす懐中電灯代わりになりました(笑)

惜しいのは、MG8000やi60Aにあった外部電源端子がなくなってしまった点。
とはいえ、実際は使う場面が限られる上に、リチウムイオン充電池のお陰で単体でも十分なパフォーマンスを得られるようになったので、特段問題にならない方も多いはずです。

■リチウムイオン充電池を装填したMG80 Pro(左側)と、単3形ニッケル水素充電池を装填したMG8000(右側)の、フル発光でのチャージタイムの比較。

リチウムイオン充電池を装填したMG80 Proを使うと、次々状況が変わるスナップ撮影でも、光量の必要な天井バウンスでも、集合写真でフル発光させても、ソフトボックスの中に入れてフル発光でも、とにかくいつでも撮影に集中することができます。
ワイヤレス機能や多灯ライティングの機能ばかりがどうしても取り上げられがちですが、最もベーシックな「オンカメラ」状態でも最高のパフォーマンスを発揮してくれるストロボだと感じました。

※1 3.7V 14500 リチウムイオン充電池を4本使用します。
※2 単3形の場合は1.2V ニッケル水素充電池の使用が推奨されています。

 

撮影・執筆:下田雅博