ニッシンデジタル - ストロボ・フラッシュ

リングフラッシュMF18で撮る口腔内規格写真(5枚法)撮影術 < 前編 >

  

<前編>目次
■ キレイな口腔内写真を撮るために使う機材
■ カメラとフラッシュの設定
■ 撮影倍率を固定した撮影方法
■ 口腔内撮影時のカメラの構え方

 

■ キレイな口腔内写真を撮るために使う機材

● はじめに

▼写真1 リングフラッシュで撮る口腔内写真

一般に広く市販されている機材を使って、正確で美麗な口腔写真を、より簡単に撮るためのテクニックをご紹介するにあたり、高田歯科(神戸)の高田光彦先生に口腔内「規格写真」(5枚法)の撮影方法について監修していただきました。

(写真1)5枚法による口腔内写真。
正面・前顎(中央)、咬合面・上顎(上)、左側側方面観(左)、右側側方面観(右)、咬合面・下顎(下)


● 比較的安価な撮影機材

▼写真2 推奨機材

口腔内写真を撮影するために必要な機材として、まずはデジタル一眼レフカメラを用意します。

一眼レフカメラと聞くと高価な機材に感じるかもしれませんが、高田先生監修のもとにご紹介するシステムは、歯科専用に製作されたシステムではなく、普及価格帯のデジタル一眼レフカメラやレンズ、ストロボなどを使用しているため、比較的安価に揃えられます。

まずはカメラ本体は、女性が片手で持って撮影できるほど軽いことを前提とし、高い解像度とリニアな色表現ができるもので選ぶと、ニコンの D3200(おすすめのカメラ最新情報)がもっとも適した本体のひとつでしょう。 次にレンズは、口腔内撮影専用と割り切って、マクロ撮影用の単焦点レンズ ( 焦点距離(*1)が固定のレンズ。ズーム機能はない ) を選びます。口腔内写真は、撮影倍率(*2)を固定にして撮影する(後述 )ことが求められるため、焦点距離が可変のズームレンズの利用は避けます。ここでは、ニコンの AF-S DX Micro NIKKOR 85mm f/3.5G ED VR を使います。このレンズには手ブレ補正機能もついているので、カメラを片手持ちしたときでも比較的安心して撮影できます。

【メモ】
高田先生が推奨される撮影機材

・カメラ本体 : Nikon D3200(おすすめのカメラ最新情報
・レンズ : AF-S DX Micro NIKKOR 85mm f/3.5G ED VR
・ストロボ : ニッシンデジタル MF18

*1 焦点距離
レンズが光を集める点とレンズまでの長さ。レンズの焦点が合う距離。つまり、レンズからフィルムやイメージセンサーまでの距離のことを焦点距離と呼びます。焦点距離は写真の画角に影響を与えます。焦点距離が短いと広い画角になり、焦点距離が長いと狭い画角になります。
*2 撮影倍率
実際の被写体の大きさと受光素子上に写った像の大きさの比率のことで、直径 1cm の被写体が、受光素子上に実寸の 1cm で写った場合を等倍と呼び、1:1 と表記します。1cm の被写体が半分の 0.5cm で写った場合は 1/2 倍、または0.5倍と呼び、1:2 や 0.5 X などと表記します。

● 奥歯まで照射できるリングフラッシュ

▼写真3 リングフラッシュ MF18

カメラ本体、レンズときて、撮影機材の3つ目は、口腔内を明るく照らすための照明器具であるフラッシュです。ここではニッシンデジタルのリングフラッシュ MF18 を使います。このフラッシュは、フラッシュ本体と発光部が分離しており、発光部をレンズの先端に装着して使えるためにレンズの光軸と同位置でフラッシュを発光でき、口腔内を隅々まで明るく照らし出すことができます。

リングフラッシュ MF18 をお勧めするポイントのひとつとして、フラッシュの操作がとてもわかりやすいことがあげられます。フラッシュ本体の背面にある操作パネルは視認性の高いカラー液晶で、画面上に配置された各種機能アイコンもわかりやすいために、初めて使う人でも比較的に取り扱いやすいと思われます。

【メモ】
MF18はフラッシュ本体と発光部が分離していて、レンズの先端に発光部を取り付けられるフラッシュです。
さまざまなレンズ径に対応できるようにアダプタリングが付属します。

▼写真4 発光部(補助灯発光時)

リングフラッシュ MF18 のリング状の発光部は、写真4のように左右に開閉できます。これにより、フラッシュの照射範囲を変えることができるので、口腔内撮影よりも撮影距離が長くなる患者の顔貌写真を撮るときなどに役立つでしょう。

この MF18 には、口腔内撮影をするときに大変役に立つ機能があります。それは、発光部と同じ位置で常時発光させておける補助灯 ( モデリングライト ) です。(写真4)

ご存じのように口腔内は暗く、カメラを接近させて撮影するときなど撮影者の影によってさらに視認性が悪くなりがちですので、この補助灯によって口腔内を照らすと、ピントも合わせやすくなります。補助灯はシャッターを押して撮影するときは自動的に消灯するので、撮影画像に影響を与えることはありません。


● ミラーと細工した口角鈎

▼写真5 ミラーと細工した口角鈎

最後に、歯科業務に携わる方にはおなじみの、 「ミラー」と「口角鈎」を紹介します。

ミラーは「咬合面用ミラー」と「側方用ミラー」のふたつがあれば、ほとんどの口腔内写真が撮影できます。ミラーは撮影がしやすいように、なるべく薄いものを用意しましょう。薄さを追求するとガラスミラーよりもステンレスミラーを選択することになりますが、ステンレスミラーはガラスミラーに比べて反射する像が多少暗くなります。ここでは薄さを優先して、ステンレスミラーを使います。実際に撮影でミラーを使うときは、口腔内に挿入したとき鏡面が曇らないように、直前にミラーを暖めておきましょう。

次に口角鈎は、事前に細工しておく必要があります。市販されている口角鈎のままですと、鈎の一方がミラーを挿入するときの妨げになることがあるので、写真5のように口角鈎の一部を切断して、研磨したものを使うようにしましょう。また口角鈎を実際に使うときは、口唇に当たる部分に水を吹き付け、滑りやすくしておくことも重要です。

【メモ】
ミラーはなるべく薄い咬合面用と側方用を用意。口角鈎は、撮影の邪魔にならないように一部を切断し、切断面を研磨したものを用意します。